白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
苛立ちを隠すことなくベィビィピンクのナイトドレスを着て待っていた妻に噛み付くようなキスをして、ウィルバーは応える。
「んっ」
「いやらしくて可憐な俺の奥さん。こんな時間まで待ってるなんて思わなかったよ」
口づけをつづけながらローザベルのナイトドレスの胸元を飾るレースのリボンをしゅるりと解いたウィルバーは、すでにピンと勃ちあがっている乳首をツンと弾いて意地悪く訊ねる。
「もしかして、怪盗アプリコット・ムーンに嫉妬しているの? 俺が欲情するのは君だけなのに」
「あんっ……」
くすくす笑いながら乳房を揉みはじめる夫に、ローザベルは拗ねた声で応える。
「嫉妬くらい、してもいいじゃいですか」
「わかった……つづきは寝室で聞いてあげるからそんな顔しないでおくれ」
――そんなに見つめないでくださる? 奥様に嫉妬されちゃうわ。
ウィルバーは怪盗アプリコット・ムーンとの応酬を思い出し、参った、と乾いた笑みを浮かべながら不安げに視線を揺らす彼女をお姫様抱っこする。
そのまま彼の寝室へ連行されたローザベルは、ウィルバーの手で一糸纏わぬ姿にされて――……