白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~
白い花嫁装束から果敢無げな夜着一枚へ着替えさせられたローザベルはすでに肌を火照らせ、ウィルバーの前に立っている。このまま花びらが散らされた寝台の上へ押し倒して行為に突入すれば初夜の儀式などすぐに終わると楽観していたローザベルだったが、ウィルバーは美しいローザベルを前に硬直しているようだ。だからといって彼の分身が不能に陥っているというわけではなさそうで、脚衣からのぞくそれは痛そうなほど勃ちあがっている。
ローザベルの困惑する表情を見て、ウィルバーがやっとのことで言葉を発する。
「すまない。ずっと君のことを想っていたから……ノーザンクロスのお姫様。可愛い女の子が女神になって俺の花嫁になるなんて信じられなくて……」
おどおどした表情で滔々と紡がれたのは、思いがけない彼の想い。
「だけど結婚式して、いま、ここにいるから……傷つけたくない、大切にしたいって思ったらなにもできなくなっちゃって……」
「なにもしてくださらないほうが傷つきます」
「……うん。俺たちは夫婦になったんだものな」
優しくするから。
そう言って、覚悟を決めたウィルバーにそうっと、啄むような口づけをされて。