白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

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 おしゃべりだが、口は堅いオリヴィアに、避妊薬が必要な理由をざっくり告げれば、彼女は「いいわよ」とあっさり納得した。
 星詠みの一族として成り上がったノーザンクロスの秘密に関わるから、詳しいことは言えない……それだけでオリヴィアは納得する。先住民族はノーザンクロスが持つ世界を俯瞰するように視ることが叶う能力を畏れているからだ。

 初代国王マーマデュークの死後判明したことだが、アイーダが宮廷魔術師として召喚された折に“稀なる石”の魔力を大量に投じたという記録が残されていた。大魔法の痕跡は残されていないものの、国家建立の際に天変地異が起こる不確定な未来を確変させたのだとローザベルは生前のアイーダから訊いている。
 そして天変地異をはじめとした国家を揺るがす事態……それを未来視のちからで見極め、“稀なる石”をつかって確変させるのが星詠みの一族の使命であることも。

 ――だからわたしが“稀なる石”を盗むことを王は咎めない。
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