白鳥とアプリコット・ムーン ~怪盗妻は憲兵団長に二度娶られる~

 それがいいうんそうしよ? と朗らかに告げるダドリーを見て、ローザベルも観念する。

「ありがとう、ダドリー」
「朝まで一緒にいられたら、既成事実作れるものね」
「作らないでください!」

 それ以前に九歳の男児と既成事実を作ることは無理ですと頬を膨らませるローザベルを見て、ダドリーは悪びれずに言い返す。

「あーあ。アプリコット・ムーンの魔法ではやく大人になりたいな」
「大人になったところで合意しませんよ」
「ちぇ」

 侮れないちいさな味方を窘めているうちに、馬車はスワンレイク王国の王族が暮らす王城……スプレンデンス城の前に到着しているのだった。
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