図書室の彼の溺愛
幼き家族と柊の嫉妬

湧side

あれは、楓がまだ小さい頃の話だったな…

そうだ……楓が小学校に入る前だったかな…

佐久良と同じクラスになる1年前、高2の頃

『湧兄さーん!おはよぉ~~~!母さんまた海外だって!』
当時小学2年位の元気な燿の声で意識が覚醒する

『ふわぁ……』
隣ですやすや眠る楓の頭をなでて起き上がる

楓は俺にずっとひっついて歩いてくるから、寝るときも一緒だ

『燿~、海外ってどこ?』

『えーとね…しんがぁ~~~~なんとか!』

うん、シンガポールな と、心の中で言う

『そっかぁ、って、もしかして父さんも?』

両親は2人で働いているから、一緒に単身赴任することが多い

『う~ん、多分!………楓は?』
燿が上に走っていきそうな雰囲気だったため頭をつかんで押さえる

『まだ寝てるからダメ』

『チエッ』

燿の舌打ちを聞きながら、楓にどう伝えようか悩む
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