図書室の彼の溺愛
『湧兄ちゃん……?』
涙声が聞こえて、顔を向ける

『あ!楓おはよう!』
挨拶をする燿の隣を通り過ぎて楓のもとへむかう

『ゴメンゴメン、』

『おいていかないでって何回も言ってるのに…』

『兄さん!稽古!稽古つけて!な!ふう!』
はしゃぐ燿と涙目の楓に挟まれて困る

『嫌だ、1人でやっててよ、燿兄ちゃん』

『はぁ!?ダメだ!』
燿は楓の足をつかんで引きずり落とそうとしていた

『やめろ、燿、』
さりげなく楓を肩車して燿が届かないようにする

『俺もやって欲しい~!』

『へへっ、燿兄ちゃんになんかやらせないもんねぇ~だ!』

このくだらないやり取りは少し長めに続く

『楓~!おはよう!』

『あ!お母さん!』
楓は俺の腕をすり抜けて母さんの方へ走って行ってしまう

……母さんに負けた…
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