図書室の彼の溺愛
「お前はトラブルに巻き込まれるのが得意だな」
涙腺が崩壊しそうになり、必死に堪える

皆の前で泣くわけにはいかない

「えっと、どちら様でしょうか?」

「…………いわば、楓の1番好きな人ですかね」
ぼけたのか本気なのか分からないトーンだから皆が反応に困った

「自分で言っちゃうんですね、でも、今告白成立しちゃったんで1番ではないかと」

…………あぁ………さっきのことが思い出されてまた涙がこぼれそうになる

そんな気持ちが伝わったのか一層強く抱きしめてくれる

「え?告白?楓、彼氏いたのか…?」
眼鏡の奥で目を丸くした湧からかすかに殺意が漏れていた

「……楓のお兄さん?」
今まで黙っていた柊が口を開いた

「うん、一番上のお兄ちゃん」
柊の胸の中で答える

「……楓、そいつ、彼氏?」

「そうです、」
代わりに柊が答えてくれる

「……よーうー?俺のだましたのかな?」
湧兄がそう声をかけると、えーっと…という声が聞こえた

「だましてはいない、ただ柊のことどう思うか知りたかっただけ」
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