図書室の彼の溺愛
『おっと、これは修羅場でしょうかぁ?』
司会者さんが小声でそういったがマイクを通しているため響いていた

「あの、一旦良いですか?」
柊が私を抱きしめたまま立ち上がり、湧に近づいた

「ん?なんだい」

「奏芽に、言いたいことがあるんです」

「それは楓に関係あるのかな?」
湧兄はいたって冷静を装っていた

「…………」
柊は私のことを考えて言うかどうかを悩んでいるようだった

「良いよ」

「ありがとうございます、楓のこと頼んでも良いですか?」

「君に頼まれる筋合いはないけどね、楓おいで」

この状況は行くべきかどうか、恥ずかしくて顔が上げられないのだが

「一旦離れてもいい?」
柊の優しい声に小さく頷く

柊が離れたため、ステージから降りようとした

「おいで、」
湧が手を引いてくれたためすんなりと降りることができた
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