図書室の彼の溺愛
「「「「「ありがとうございました!」」」」」
声が何層にも重なって聞こえる

「ふふっ、お疲れ様、またやろうね」
肩で息をしている門下生たちに挨拶をして柊と並んで道場を出た

「疲れた…」

「俺も…しかも、楓と2人になれなかった…」

ちょっとだけ唇をとがらせた柊を見て笑う

「へへっ、」

「笑うな」
ジッて見られてさらに笑う

「柊かわい…! 」
思ったことを叫んだだけなのに公園に引き連れられ、ベンチに並んで座った

「なにいってんだよ…」

赤面した柊の顔を手を伸ばす 

「赤い…! 」
柊を茶化すの楽しい…!って心の片隅で思っていたら

「…ん、……ぅ……ふぁ……」
その手を引かれて唇が触れる

「……たく、俺を手玉にとれると思うなよ」
力が抜けて柊に寄りかかっていると耳元でささやかれてゾクッとなった

「帰ろ、送ってく」
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