あなたとしゃぼん玉
男は頭から血の気が引いた。

裏アカには彼女が生前呼んでいた自分の名前が書かれてあったからである。

このフォローやいいね数は彼女が死んだことを知った一般人がアカウントを探し当て、晒したことで増えた野次馬たちである。

コメントには様々な言葉が呼んでも答えない死者に投げかけられていた。

『顔めっちゃかわいいじゃん。ヤりたい。孕ませたい。死ぬなんて惜しいよー』
『全部読んだけど、悲しいね。この裏アカにはずっと関係終わりたいって訴えてる。ご冥福をお祈りします。』
『尊敬してた上司と不倫して、中絶して、あたおかになった系?』
『死ぬとき、床に新聞紙と垂れ流ししない様に身体にゴミ袋巻きつけてたってネットでみた時はさすがに悲しいと思った。』
『不倫してたのに救いようない。ただの言い訳だらけ。全部誰かのせいにしてる。被害者ぶってる。何様?死んで当然。あの世でも苦むし、幼少期が壮絶だからと言って、不倫をしていい理由にはなんない。』
『大って誰?wwwこの、だいさん?おおさん?最低すぎん?特定班はよwwww』
『身体の一部白骨化してたらしいね。こんな暑い真夏にお父さんが第一発見者だったんだ。ショックだったろうね。』


男は震える手で画面をスクロールした。

自分が殺したのかもしれないという気持ちがみるみる大きくなっていく。

1番最新のツイートは彼女が死んだとされる数時間前だった。
< 23 / 93 >

この作品をシェア

pagetop