あなたとしゃぼん玉
自殺であると悟った父親は放心状態の中、電話越しで待つ派遣会社の担当者に伝えた。




「娘が…………自殺をしていました。」




この事件は両親が別居中で、彼女は兄弟とも仲が悪く疎遠状態であり、父親と娘の2人暮らしだった中、家族であるにも関わらず普段からあまり会話が無く、コミュニケーションが取れていなかったが故に同じ屋根の下で暮らしながらも、彼女の遺体が数日経ってから見つかった事、個人が特定されてしまい、彼女のTwitterの裏垢すらも特定され、自殺にまで至った背景が浮かび上がった事が悲惨であるとニュースにまで取り上げられてしまう。

「本人が悪い、死んで当然だ」と言う者もいたし、彼女の生い立ちや環境が可哀想だと哀れむ者もいた。

残された者は突然の知らせに動揺し、困惑し、理由も聞かされず、生きることを諦めた意志も分からず、何の役にも立てなかったことを悔やみ、今日も生きることになる。

死ぬまで癒えない苦しみを背負うことになる。

今日もあなたがいないということを受け止めて生きていかなければならない。

また、ある者は彼女が命を絶った事を人づてに聞き、絶望する。

そして、広がり、深く沈み、隠されていた嘘や真実を知った周りの者たちが彼に軽蔑の眼差しを向けることになる。
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