あなたとしゃぼん玉
いつものように職場が離れていても仲良くしていたメンバーと食事に行った時だった。
大矢さんは酔うと、いつも決まってわたしの隣に座りに来る。
「朝日ぃ~」
「はい」
「飲んでんの?」
「わたし、お酒飲めないんですけど、今日は1杯だけ飲みましたよ」
「そうなん。可愛い」
酔いつぶれた顔で、こっちを見る大矢さんは完全に酔っぱらっていた。
その時の大矢さんには近づかないようにしていたが、この日はいつもと違った。
「朝日、家どこなん」
「ここから、10分くらいで着くところです」
「そうなん、危ないし送っていくわ」
「いや、良いです!終電なくなりますよ…」
「家入れて」
「だめ」
「ほんま、大矢さん、朝日のこと好きっすよねー」
「可愛い。大好き」
大矢さんは酔うとわたしの家に上がりたいと必ず要求してきた。
呆れながらも適当にかわしていた。
既婚者が独身女の一人暮らしする部屋に上がればどうなるか。
何がいけないか。
考えなくても、分かること。
息をするくらい簡単なこと。
わたしが自制し続けることが出来ていたら。
未来は変わっていたのだろうか。
今でも、大矢さんと上司と部下の関係でいることが出来ていたのだろうか。
11月、午後11時49分。
大矢さんが乗らなければならない電車に乗れず、彼は終電を逃した。
大矢さんは酔うと、いつも決まってわたしの隣に座りに来る。
「朝日ぃ~」
「はい」
「飲んでんの?」
「わたし、お酒飲めないんですけど、今日は1杯だけ飲みましたよ」
「そうなん。可愛い」
酔いつぶれた顔で、こっちを見る大矢さんは完全に酔っぱらっていた。
その時の大矢さんには近づかないようにしていたが、この日はいつもと違った。
「朝日、家どこなん」
「ここから、10分くらいで着くところです」
「そうなん、危ないし送っていくわ」
「いや、良いです!終電なくなりますよ…」
「家入れて」
「だめ」
「ほんま、大矢さん、朝日のこと好きっすよねー」
「可愛い。大好き」
大矢さんは酔うとわたしの家に上がりたいと必ず要求してきた。
呆れながらも適当にかわしていた。
既婚者が独身女の一人暮らしする部屋に上がればどうなるか。
何がいけないか。
考えなくても、分かること。
息をするくらい簡単なこと。
わたしが自制し続けることが出来ていたら。
未来は変わっていたのだろうか。
今でも、大矢さんと上司と部下の関係でいることが出来ていたのだろうか。
11月、午後11時49分。
大矢さんが乗らなければならない電車に乗れず、彼は終電を逃した。