あなたとしゃぼん玉
自宅に入り、水を飲んだ大矢さんはソファーで寝転んだ。
「朝日、30分後起きるからアラーム掛けといて」
「図々しい上司…はーい」
「朝日ごめんー、電気消してー」
「…なんなん、この上司…はーい」
暗闇の中、窓を少しだけ開けると、レースのカーテンが靡く。
月の光だけがわたしたちがいる部屋を照らした。
暖房を掛けた部屋は暖かく、連日忙しかったわたしも睡魔に負け、寝てしまいそうだった。
寝たらだめ。
…寝たらだめ。
わたしは睡魔に負け、大矢さんから少し離れた窓辺の床で眠ってしまう。
数分後、わたしは大矢さんの声で目が覚める。
「…はぁ、可愛い…」
咄嗟に起き上がることが出来なくて、目を瞑ったまま、今の様子をうかがった。
分かったことは、大矢さんは起きているということ、ソファーで眠るのをやめてわたしの隣にいるということ。
顔に息がかかるのが分かるほど、近くにいることが理解できた。
わたしは寝たふりしたまま、寝返りを打つ。
大矢さんがわたしの髪に触れる。
「はぁ…あかん、無理…」
気づいていた。
知っていた。
何となく分かっていた。
わたしを見る大矢さんの目が部下から違う何かに変わっていたこと。
だから「2人でご飯に行こう」と言われても「家行かして」と言われたとしても、適当な理由を付けてはぐらかして遠ざけた。
取り返しのつかないことになってしまうと想像が出来ていた。
「朝日、30分後起きるからアラーム掛けといて」
「図々しい上司…はーい」
「朝日ごめんー、電気消してー」
「…なんなん、この上司…はーい」
暗闇の中、窓を少しだけ開けると、レースのカーテンが靡く。
月の光だけがわたしたちがいる部屋を照らした。
暖房を掛けた部屋は暖かく、連日忙しかったわたしも睡魔に負け、寝てしまいそうだった。
寝たらだめ。
…寝たらだめ。
わたしは睡魔に負け、大矢さんから少し離れた窓辺の床で眠ってしまう。
数分後、わたしは大矢さんの声で目が覚める。
「…はぁ、可愛い…」
咄嗟に起き上がることが出来なくて、目を瞑ったまま、今の様子をうかがった。
分かったことは、大矢さんは起きているということ、ソファーで眠るのをやめてわたしの隣にいるということ。
顔に息がかかるのが分かるほど、近くにいることが理解できた。
わたしは寝たふりしたまま、寝返りを打つ。
大矢さんがわたしの髪に触れる。
「はぁ…あかん、無理…」
気づいていた。
知っていた。
何となく分かっていた。
わたしを見る大矢さんの目が部下から違う何かに変わっていたこと。
だから「2人でご飯に行こう」と言われても「家行かして」と言われたとしても、適当な理由を付けてはぐらかして遠ざけた。
取り返しのつかないことになってしまうと想像が出来ていた。