あなたとしゃぼん玉
「………うん。ごめん。ごめんなさい」
『朝日が謝ることじゃないよ』
「…ううん。ごめんなさい…ごめんなさい」
ひたすら謝り続けるわたしに大矢さんは『今日、仕事終わったらすぐ向かうから、あとで話そう。気をつけて帰りや』とだけ言い残し、電話は切れた。

話し合い?
今までどんなにしても、解決しなかったのに?
何度も何度も勇気を出して「やめようよ」って訴えたのに、応えてくれなかった。
めんどくさそうに「分かった」「そうしよう」って言って。
いつも上手く丸め込まれていた。
わたしだけが、話し合えば理解できると。
必ず、解決するんだと信じていた。

今更、話し合ったところで、どんな結末になるくらい分かるよ。

「うぅ…ううぅ…」
お腹が空いてしまう。
泣きながらマクドナルドのポテトを頬張り、バニラシェイクを飲んだ。

死にたい。
死んでしまいたい。
わたしが死んで、この子が産まれてほしい。
今まで生きてきたわたしに立ちはだかることがなかったはずの未来。
回避することができたはずの未来がわたしに突き付けられる。
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