あなたとしゃぼん玉
妊娠発覚から1週間が経った。
さすがにこのままじゃいけないと思っていたわたしは自分の母親にLINEで妊娠を報告した。
きっと「自業自得」だとか、「あんたの日ごろの行いが悪い」と言われると目に見えていた。
お金があったら、誰にも相談せずに、親にすら相談せずに決めていた。
でも今のわたしには決断力があったとしても、お金がない。
どんな言葉や声で罵られるんだろう。
怒られてしまうんだろう。

[ごめんなさい、妊娠していました]

そう送ったわたしに返ってきた返事は想像していなかった言葉だった。

【ありがとう!よく話してくれたね。どうするにしても早く決断しなあかんから、会って話そう!】

この時のわたしにとって、この言葉がそれほど嬉しかったか。
どれほど、心救われたか。
どんなに悲しい過去でも、どんなに苦しい過去でも、わたしのお母さんなんやと思った。
この日初めて、わたしはお母さんの子で良かったと心の底から思った。
あれほど厳しかった母親がなぜこの時わたしのこころに寄り添えたのか、のちにわたしは思い知ることになる。
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