あなたとしゃぼん玉
朝、10時頃、目が覚める。
今日で全部終わるんだと思った。
お腹は空いていたけど、ご飯は食べない。
後処理が余計に大変になると聞いたことがあるから。
燃えるゴミは昨日捨てた。
今日は部屋の掃除をして、拭き掃除をして、要らないものをまとめたら終わり。

今日は最後だから、赤ちゃんの供養に行く。
12時10分、封筒にエコー写真を大事に入れ、近くのスーパーの中にあるお花屋さんで仏花を買って、駅の売店で売っている必ず持っていく洋菓子を買って、バスで15分のところにあるお寺へ向かう。

今日は雨が降っていた。
全て洗い流して、無かったことにしてほしい。

13時45分、お寺で手を合わせる。
お寺の庭には水子供養のお地蔵様と水子がいるが、「三途の川を渡れますように。みんな幸せになって、大好きな家族のもとに生まれてこれますように。」とそう願った。

14時頃、帰宅する。
お風呂に入り、丁寧に身体や髪を洗った。
今日でお風呂に入るって行為が終わるんだ。
歯を磨いて、冷房を付け、ベッドに横になる。
悲しくてまた泣いて、泣き疲れてまた眠った。

15時40分、寒くて目が覚める。
赤ちゃんの夢を見た。
大矢さんの子をわたしのお母さんが妊娠していた。
悲しくて、悔しくて、母が憎くて堪らなかったが、赤ちゃんを殺す事はできない代わりに床で寝転ぶ母の足を踏み潰す夢だった。

怖くて飛び起きた。
恐ろしくてまた泣いた。
狂っていると思った。
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