あなたとしゃぼん玉
お母さんだけに愛して欲しかった。
わたしの全てを受け入れて欲しかったよ。
孤独と戦いながら生きていくのは辛くて、悲しくて、とても苦しい。
幼少期にたくさん味わったのに、大人になってからも経験しないといけないのは耐えられない。

わたしはもうこの世にいることを諦めて、命を捨てるけど。
もしお母さんが、また来世で誰かのお母さんになるなら、たくさんの愛情を子どもに注いであげてほしい。
言葉や態度で愛してると伝えてあげてほしい。
見捨てず、最後まで見届けてあげてほしい。

そして、お母さん自身も適当でも許せる自分でいてほしい。
子どもの言うこと何でも聞いてあげたいとか、理想があったとしても、現実、ぎゃーぎゃー泣いて思い通りにならなくて、辛いな、しんどいな、って思うことがあったとしても、叩かないでほしい。

その子が大人になったら、きっとお母さんの心に寄り添うから。
小さい頃の子どもの心の声に寄り添ってあげてほしい。
心が吐き出す言葉をゆっくり待ってあげてほしい。
あなたを絶対的な安全基地と認識するまでは目を離さないであげてほしい。

「いらない」「大丈夫」「嫌い」
もし言ってしまう子なら、
言葉や態度の裏を勘ぐってあげてほしい。
小さい頃だけで、もういいから。
気持ちに寄り添ってあげてほしい。

ただ、それをしてくれるだけで、大人になってもお母さんを大切にし、尊敬し、お母さんがだいすきになってくれるよ、きっと。

心の底から、お母さんだいすきって言ってくれるはずだよ。

わたしはもう二度と生まれ変わらなくていいし、地獄に落ちたままでいいし、天国に逝けなくていい。
もう二度と生まれてこないから、安心して。
もう誰も傷つけないし、苦しめない。
誰の涙も見たくない。

ただ、あの世のどこかで、産まれるはずだっただいすきで大切なお腹に来てくれた赤ちゃんが三途の川を渡れるように自分ができることをしてくるよ。

さようなら。
お母さんを選んで生まれてきてごめんなさい。
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