LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
大学4年になり、本格的に就活が始まる。



「もしかして、素っぴん?」


一社目の面接で、その面接官に言われた。


その言葉で、この歳になって化粧をしていない事がおかしいのだと気付いた。


そのせいなのか分からないけど、その会社は落ちた。



化粧をするにも、いきなりデパート等の化粧品ブランドのコーナーに行く勇気もお金もなく。


大学近くのドラッグストアにある、
プチプラの化粧品コーナーを見ていると、
美容部員の女性に声を掛けられた。


「肌、綺麗ですね?」


今、思うと、それはお世辞だったのかもしれないけど。


その人に色々と教えて貰い、化粧水等の基礎化粧品から、
ファンデーションやマスカラ等も購入した。


その時まで私は、化粧水さえも付けた事もなく、
薬用リップですら塗った事がなかった。


そう言われると、肌が綺麗かはともかく、
私の肌はとても丈夫なのだと思う。


今ではそんな事考えられないけど、
何もしなくても何一つ肌トラブルなんてなかったので。


化粧をし出した私を、母親はいつも機嫌悪そうに見ていた。


「似合わないのに」


そう、鼻で笑われる。


不安になり、鏡で確かめるけど、
昔の私とは見違えるような自分の姿。


髪も切ろうか、とそれに触れる。


幼い頃から、決まった近所の美容室で、年に一度程、伸びた分をバッサリ切るだけの、私のそのダサイ髪型。


何処かお洒落な美容室にでも、行ってみようか。

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