LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~

《斗希side》


篤と仲良くなったのは、家が近いからよりも、通っていた幼稚園が同じだったから。


篤と初めて会った時の事は覚えてないし、
一体、いつ仲良くなったのかも分からない。


気付いたら、篤がよく俺の家に遊びに来るようになっていた。


それは、篤の母親が篤を俺の家に連れて来ていた。


「私、今日も仕事で。
ほら、うちの篤、幼稚園で一番斗希君と仲良いし。
ほんのちょっとだから。
滝沢さん、お願い」


それは、幼稚園のない日曜日で。


その篤の母親の仕事は、多分嘘だったと思う。


篤の母親は、幼稚園の保護者の母親達の中で一番若く、
その若さが原因ではないが、とても常識のないタイプで。


正直、俺は篤の母親が昔から大嫌いだった。


うちの母親は、気弱で外面が良いタイプだから、
そうやって篤の母親に目を付けられたのだろう。


篤には、二人の姉が居て、その姉達は年子で、俺と篤の4歳上と3歳上で。


その篤の母親のうちへの託児の押し付けが始まった時、
俺も篤も年少の3~4歳で、
その姉達も小学生とは言えまだまだ子供だからか。


篤だけではなく、その姉達もセットでうちに押し付けて来た。



「困ったわねぇ」


俺の母親はそう溜め息を吐いていたが、
先程、玄関先で篤の母親に押し付けられている時は、
笑顔ではいはいとそれを引き受けていた。


そんな風に一度引き受けてからは、
毎週のように篤達姉弟がうちに来るようになり、
日曜日だけではなく、いつの頃か、土曜日も来るようになった。


父親は、そうやって勝手に引き受ける母親に初めの頃は怒っていたが、

篤の母親が、とても若く美人だという事を知ると、何も言わなくなった。


それどころか、近所で篤の母親に会う度、その事で篤の母親と話すきっかけが出来て、喜んでいた。


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