LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「俺は父親が誰か分かんねぇけど、父親そっくりだからな」
そう言い切る篤に、なぜ?と思う。
父親が誰か知らないのに。
「なんでそう思うの?」
「俺、あのババアに似てねぇし。
それに、あのババア、俺の父親は誰か分かんねぇとか言いながら、たまーに俺の顔を切なそうに見んだよ。
誰かを思い出すように。
似てんだろうな?俺がその男に」
「そうなんだ…」
あの美人だけど頭の空っぽそうな篤の母親の顔を思い浮かべるけど、
そんな誰かを一途に思うタイプに思えない。
それに、篤の上の姉達もそれぞれまた父親が違うみたいだし。
「まあ、好きでもねぇ男の子供ならば、あのババアも俺の事生んでねぇだろうな」
篤はそう言うけど、姉達もそれぞれ父親が違うから、
三人もそう思った男が居るわけで、
やはり色々緩い女には違いないのだろう、と思った。
俺の母親は、父親の事を好きでもないのに俺を産んだのだろうか?
昔から、母親と父親の間に、愛なんてものがないのは、感じていた。
仲が悪いとかではないけど。
聞く所によると、うちの両親は恋愛結婚ではなくて、お見合い結婚らしいけど。
もしかしたら、母親は俺が父親の子供ではないと思ったから、
俺を産んだのではないだろうか?
父親ではなく、好きな男の子供だと…。
「つーか、俺、そろそろ行くわ」
そう言って、篤は俺に背を向けて歩き出した。
俺は、背に汗をかいているのを感じた。
もう9月だけど、まだまだ暑いからか。
今居る場所が西日のせいか、異常に暑くて、
気が変になりそうだと感じた。