LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~



俺の姿を見付けた篤は、よぉ、とか言って機嫌良さそうにこちらに歩いて来て。


え、と戸惑ってしまう。



その姿は、どう見ても怒っている様子はなくて。


「篤、俺に何の用なの?」


全くの見当も付かなくて、焦ったように訊いてしまう。



「用はねぇんだけど」


なら、なんだ?とさらに焦燥感が募る。


「ほら?今日の夕方、お前なんか落ち込んでたから。
なんか気になってよ」


そう言われ、え、と篤の顔を見てしまうけど。


篤はそうやって見られて、何処か照れ臭そうで。


「気にしてくれてたんだ」


「ああ…」


なるほどね。


彼女である上杉のお姉さんともうヤる事やったから、
俺の事思い出してこっちに来てくれたんだ。



「何が有ったか知らねぇけど、とりあえず、海でも見に行かねぇか?」


「え?海?」


その篤の唐突の提案に、一体何から突っ込めばと、思う。


この辺りに、海なんかないし、それに、今何時だと思っているのかと。


「とりあえず、俺自転車取って来るわ。
お前も、取って来い」


そう言って、俺の意見なんか聞かずに篤は自宅のあるアパートの方へと歩いて行く。


マジか、と思いながらも、俺も従うように自転車を取りに自宅の方へと歩き出した。


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