LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
篤のボロボロのママチャリの後ろを、俺は自分のマウンテンバイクで追い掛けた。


目的の海へと辿り着いた頃には、
足が筋肉痛で痛くて、明け方近かった。


海沿いの道を走るけど、浜辺がなかなか見えず、もう此処でいいか、と、
篤が先に自転車を止めた。


俺もそれに続き、俺達は歩道に自転車を放り投げるようにして、それから降り、
地面に座り込んだ。


疲れた、とお互い口に出すと、篤と目が合い笑う。


俺も篤も汗だくで、体が熱くて仕方ない。


「あっち登ってみようぜ」


篤の指差す方には、俺達の背の高さより遥かに高い堤防があり、一瞬、その高さに面倒だと思ったけど。


篤はそれに近付き、断面の凹凸部分に足を掛けて、ひょいひょいと登って行く。


そういえば、篤は昔から木登りとか得意だったな、と思い出す。


ボルダリングみたいだな、と、俺も篤を真似して登り始めた。


登り終えると、篤が下を見ていて、
そこには大量のテトラポッドがある。


「降りるか」


そう言って、篤はそれに飛び降りる。


俺は戻る時の事を考えて、下を見た。


壁沿いの手前にあるテトラポッドから、壁に飛び移り、先程みたいに登ればいいか。


それを確認して、俺も篤の居るテトラポッドに飛び降りた。


中学に入って、陸上部に入っているから、足腰は鍛えている方なのだけど。

筋肉痛と今の飛び降りた衝撃で、けっこうヤバい。


波の音が聞こえるし、潮臭い。


海に来たのだと、並んだテトラポッドの向こうを見て思う。


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