LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「なんでまた海なんだ?」


そう訊く俺に、


「ほら、こういう時って海だろ?」


そう、よく分からない答えが返って来る。

そして、

「斗希、何かあったのか?」


真剣な目を俺に向けて来る。


何かか…。


父親に自分の子供だと思われていない事や、
篤の姉の円さんを犯した事。


両親に生まれて初めて反抗して、その行為を目の当たりにした事。


自殺しようとした事。


何かあったのかと言われれば、何かあった。


「言いたくねぇなら言わなくてもいいけど。
俺にとってお前はすげぇ大切な奴だから、
お前が苦しいなら、俺も苦しい」


そう言われて、俺にはもう篤にそう言って貰える資格なんかないのに、と思った。


円さんを犯している時、好きな女性だから、というより、
篤の姉だから、という気持ちの方が強かった。


篤の大切なものを、めちゃくちゃにしてやりたい、と。


篤が目の前の俺よりも、女を選んだ事に、あの時腹を立てていたのだと思う。


今、こうやって俺の所に来てくれたけど。


でも、あの時、そのまま俺の側に居てくれたなら、
円さんの事も両親の事も、あんな風になっていない。


やはり、こいつのせいだ。


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