LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~


斗希の昔の話は、けっこう衝撃的で。


ほんの少し、この人に畏怖の感情を抱いてしまった。


「だから、円さんとは結衣が思っているような関係じゃないから。
それなのに、俺との不貞行為で結衣に訴えられたりしたら、流石に円さんが可哀想過ぎて目も当てられない」


斗希の言うように、円さんが脅されて今も斗希と関係を持っているのならば、
私がもし、円さんに慰謝料の請求等して、それがきっかけで、円さんの家庭が壊れたりしたら…。


そこまでするつもりはなかったけど、
想像してみて、円さんに対して、申し訳ないような気持ちを抱いた。



「円さんとの関係は18年間だけど、会ってない時期とかも年単位であった。
流石に、妊娠している時の円さんを抱こうと思わなかったし、俺自身も忙しくてそれどころじゃない時期もあって。
けど、ここ数年は、けっこう頻繁に円さんと会ってた。
頻繁って言っても、月一回くらいだけど」


「円さんのパート先が定休日とは別に休みになる、第三木曜日だよね?」


そう言う私に、よく知ってるね、と言うように、斗希は小さく笑みを溢した。


「ここ数年、そうやって円さんとよく会うようになったのは…。
きっと、篤が幸せそうで、モヤモヤとしてたのかも。
その感情をぶつけるように、円さんを」


斗希の昔の話を聞いた後だから、
その言葉に違和感を持たなかった。


斗希の川邊専務への友情は、まさに表裏一体。


愛と憎。


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