LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「結衣、これが本当の目的だった?
俺の心に入り込んでから、こうやって裏切る事が」
その目は、私に対して失望していて。
今、私が今回の事を引き起こしたのだと、斗希に思われている事に気付いた。
「私、知らない!
こんな写真、送ってない!」
そう強く訴えても、私を見る斗希の目は変わらなくて。
信じて貰えないのだと、悲しくなる。
そもそも、私は復讐する為にこうやって斗希に近付いた。
そんな私が、信じて貰えるわけがないかと、すぐに諦めてしまう。
斗希は、私の手の中にあるその写真を一枚手に取り、見ている。
「―――結衣、ごめん。
結衣じゃない」
その言葉に、え、と斗希を見る。
「この写真、春先かな。
円さん、コート着てるから」
そう言って、写真を見えるようにこちらに向けた。
斗希はスーツ姿だけど、円さんは春物の薄手のコートを着ている。
確かに、私が斗希を恨み出したのは、
夏になってから。
私が興信所に頼んで、二人の事を写真に撮って貰った9月半ばも、まだまだ気温は暑かったから、半袖だった。
「俺、色々恨まれているから。
結衣だけじゃなく。
日頃の行いが悪いから」
そう笑うけど、今回の事はそれなりに堪えているのか、
斗希からはいつもの余裕を感じ取れない。
きっと、斗希の事を恨んでいる人間は、私以外にも沢山居るのだと思う。
斗希の過去の話を聞いていて、
その話に出て来る大半の人間が、斗希を恨んでいてもおかしくないような気がした。
そのリストには、普通ならあり得ないはずの、斗希の両親さえも、加わる。