LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「なんで、梢ちゃんが謝るの?
おかしい…。
だって、篤は結衣に嵌められて…」


私の心を代弁するような、斗希の言葉。


「もし、そうだとしても…。
その音声を聞いてたら、篤さんが結衣さんにした事は、同じ女として許せる事じゃない。
だけど、私…篤さんと別れたくない…」


梢さんの目から流れる涙も、その言葉も、私を苦しめる。


人を傷付ける事が、こんなにも苦しいなんて。


よくも悪くも、私は今まであまり人と関わって来なかったから、
それを知らなかった。


「梢ちゃん謝らないで。
全部、結衣が仕組んだ事だから。
俺、前に一度結衣からその音声と全く同じ物を聞かせて貰った。
それを録音したのは、結衣だから。
それを録音する為に、わざと篤に犯されているかのように。
ねぇ、結衣?」


私も思っていた。


先程聞かせて貰ったそれは、私が録音したそれと、全く同じものだと。


もし、先程川邊専務が言っていたように、盗聴器の可能性も全くないわけではないけど。


ただ、私が録音した部分と同じで、
音の聞こえ方も、全く同じで。



「どうせ、部屋に入る所も、誰かに撮らせたんだろ?
ああ、あれ?よく利用してる興信所の人間にでも。
梢ちゃんにこれを見せ付けて、どうしたいの?」


私を見る斗希の目は、冷たくて。


私に、幻滅している事が分かる。

< 181 / 288 >

この作品をシェア

pagetop