LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「ごめん…」


斗希は手を伸ばし、私の首に触れる。


「なんだか、混乱して。
泣いてる梢ちゃん見てたら結衣が許せなくて。
それに、結衣がそんな事をしたのかと、裏切られたような気がした。
最近、俺達上手く行ってると思っていたから」


「うん…」


「けど、一番は…。
俺、どっかで、こうなる事を望んでいた。
結衣と篤の事が、梢ちゃんに知られればいいのにって。
そんな自分が許せなくて、結衣に自己投影したのか…ごめん…」


斗希はそう言うと立ち上がり、そのまま自分の部屋へと入って行った。


私は、それを追いかける事は出来ない。

その壊れそうな斗希の背を見ていたら、先程みたいに簡単に抱き締める事が出来なかった。


今、優しくしたら、さらに自責の念を持たせて、斗希を壊してしまいそうで。


斗希は今まで沢山の人を傷付けて来たけど、
その度、自分自身も傷付いていたのだと、円さんの件と川邊専務の今日の出来事を見ていて、気付いた。


だけど、斗希は他人を傷付ける事を辞められないのだろう。


自分も傷付くのに、なんで。

< 184 / 288 >

この作品をシェア

pagetop