LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「そう。
篤の紹介だけあって、凄い可愛い子だよな。
なら、この子は単体で使おう。
宣材とか整ったら、またメーカーに営業回りしとくから」
成瀬社長は、そう私に笑い掛けてくれる。
その笑顔が素敵なのもそうだけど、
けっこうカッコいい人だな、と思った。
この人が、本当に斗希さんの言うように悪人なのだろうか?
本当に、篤さんはこの人に騙されているのだろうか?
「…奈々を、単体っすか?」
そう言った篤さんは、何か引っ掛かっているようで。
先程からの、単体ってなんなのか、私にはよく分からないのだけど。
「あっちゃん、単体って何?」
ニコニコと、笑ってそう訊く。
いつもの自分とは違う、そのキャラを演じる。
そのキャラは、名を語った姉とも、また違うのだけど。
私の思う、AVに興味があって、お金が欲しい子は、こんな感じなんじゃないかと。
「単体って、AV女優にもランクがあって、一番上って事。
きっと、すぐに奈々ちゃんを単体で撮りたいってメーカーが見つかるから」
「はぁ…」
成瀬社長の言葉に、今も篤さんは不審そうで。
「あっちゃん、ナナ頑張るからね」
そう言って、篤さんに腕を絡ませた。
それは、セフレだという演技。
「お、おいっ、離せよ」
そう言って、立ち上がった篤さんは本気で困ったように照れていて。
少し、その反応が面白いと思ってしまった。
今まで、この人の事を、怖いと思っていたけど、そんな事ないのかな?
ふと、成瀬社長に目を向けると、
先程迄の笑みが消えていて。
その顔が、少し引っ掛かった。