LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
そんな風に時が過ぎ、私は高校三年生になった。

その年の、8月上旬。


そういえば、いつか斗希さん達とハンバーガーを食べたのも、これくらいの時期で夏休みだったな、と思う。


この頃には、大学にも進学しないと決めていて、夏休みは最低限の課題をこなすだけで、
毎日、友達と遊んでいた。


そんな時だった。


成瀬社長から、連絡があった。


『奈々、お前の仕事が決まった。
近いうちに、その監督面接がある。
予定は、また連絡する。
とりあえず、向こう一週間くらい予定空けてて欲しい』


その連絡を受け、私はスマホを持つ手に力を込めた。



その電話を切った後、斗希さんではなくて、先に篤さんに電話をしていた。



「あの実は…」


と、先程の成瀬社長からの電話の話をした。



『そっか。
じゃあ、よろしく頼むわ』


篤さんは、淡々とそう言った。

もしかしたら、辞めてくれと言われると思っていた。


そう言われたくて、私は篤さんに電話したのかもしれない。


だって、篤さんは成瀬社長を騙したくないはず。


成瀬社長が本当に悪人なのかどうかは分からないけど、
篤さんは本当に成瀬社長を慕っているように見えたから。


『つーか、用はそれだけか?
別に、寧々、お前がやりたくないなら、辞めてもそれは構わねぇから』


「うん…」


『俺、今、人と一緒だから、切るわ』


そう言って、電話は切れた。


ちょうど1ヶ月前に、斗希さんと会った時。


篤さんが、成瀬企画を辞めたと聞いている。


もしかして、篤さんは成瀬社長と何かあって、
あの会社を辞めたのだろうか?



その後、斗希さんにも電話をして、篤さんと同じような事を伝えた。


『分かった。
頑張って』


そう言われて、私はそれに、はい、と言いながらも、何処かで斗希さんに不信感を持っていた。


だけど、後、もう少しで、斗希さんが私のものになる。


そう思うと、その気持ちを必死で揉み消した。
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