LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
私と成瀬社長が中へと入ると、


「あ、やっぱり、素顔の方が断然いいね」


金村監督が、私の顔を見ている。


今日、成瀬社長からの指示で、私は素顔。


一昨日の監督面接の時に、二人がその辺りの事を話していたのは、聞いていたけど。


素顔になれば、私は一段と幼くて。


なんとなく、何を求められての素顔なのか、理解した。


「じゃあ、社長さん。
そこのモニターで見るなり、何処かで時間を潰すなり、好きにして下さい」


「寧々、後は、金村監督の指示に従って」


そう言う成瀬社長と引き離すように、
金村監督は私の肩を促すように、押す。


リビング横の、その部屋。


「あの、シャワー浴びたりとかしなくていいんですか?」


私は、ふと、金村監督にそう訊いていた。


私は特に仲良しな同業者はいないのだけど、
去年の年末に参加した成瀬企画の飲み会の時に、近くに居たAV女優の女性に、
撮影の流れを興味から聞いていた。


撮影の前にシャワーもそうだけど、メイクして貰ったり、衣装とか。


それに、性病の検査をしているとか聞いていたけど、私は一度もそんなのした事ないし…。


端から、この撮影のイレギュラーな雰囲気を感じ取る。

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