LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
撮影は、その1日だけではなく。


翌日も。


二日目の撮影は、監督面接を受けたあの会社の建物内にあるスタジオで。


前日に比べると、その撮影はソフトだった。


きっと、金村監督的に前日の撮影が本当に撮りたかったもので、
今日の撮影は、ただ余った枠を埋めるだけのものだろう。


その撮影後、私はパッケージの撮影だとかで、また違うスタジオに移動していて、写真を何枚も撮られた。



帰り道。


成瀬社長が、私を自宅の近く迄車で送ってくれる。


昨日の撮影後もそうだったけど、成瀬社長は一言も話さなくて、私も話し掛けなくて。



車が、私の家の近くで停まる。



「これ、ギャラ、渡しとく」

「えっ?」


付き出されたその封筒に、目を向けた。



「ほら?面接の時にお前口座ないって言ってただろ?
あの時は、撮影迄に口座を作っとけって言ったけど、まあ、無理だよな」


そう言われ、そうだと思い出した。


流石に、姉の口座を言うのもと思い、その場では、口座を持ってないと答えていた。



「これ、貰っていいのですか?」


「ああ」


成瀬社長から手渡されたその封筒は、けっこうな厚みがあり。


こんなものが欲しかったわけじゃない、とこれを投げ捨ててしまいたくなる。


「寧々、多分、もう会う事ないと思うけど…、いや、もし裁判とかなったら会うのか?
まあ、いいや。
元気でな」


そう言って、何処か辛そうに笑う、成瀬社長。


その言葉の通り、私がこの人に会うのは、これが最後になった。


その後、この人の名前を、何度も聞いたり、話したりする事になるのだけど。

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