LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「けど、ありがとう。
あの社長逮捕されたみたいだね。
寧々のおかげ」
そう言って、私に罪の意識を感じさせようとしているのが、分かる。
けど。
「成瀬社長は、分かってた。
私の年齢。
だけど、成瀬社長も理由があって、
それに乗っかったの。
だから、私にも、篤さんにも、そして、斗希さんあなたにも、成瀬社長は騙されたわけじゃない」
「そう」
その顔は、何を考えているのかポーカーフェイスで、
少しくらい、悔しそうな顔をするかと思っていたのに。
「後、成瀬社長、不起訴になったの。
昨日、担当の刑事さんから聞いた」
昨日も、私はK署で取り調べられていた。
まだ、後何度かは取り調べがあると思う。
「そう。
けど、篤はもう残りの200万貰ったみたいだし、まあ、いいや」
「斗希さんの目的は、本当にそれなんですか?
篤さんの為に、お金をって」
その言葉に、斗希さんの口に弧を描いたような笑みが浮かぶ。
「斗希さん、本当は…。
篤さんに成瀬社長の事を、裏切らせたかっただけじゃないんですか?
もしかして、嫉妬?
私も何度か成瀬社長と篤さんが話している光景を見たけど、本当に仲良くて…。
あの二人の関係を、壊したかったんでしょう?」
斗希さんの顔から、スーと笑みが消えて行く。