LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
そんな事があっても、私の日常は変わらなくて。
あの後、何度かK署で取り調べられたけど、
結局は、斗希さんや篤さんの事を話さなかった。
それは、彼らを庇ってとかではなく、
もう早くこの事を終わらせたかったから。
そうやって、この事は終わると思っていたのに。
それは、1月上旬。
それは、いつものように登校した高校での昼休み。
「あのさ、これお前に似てない?」
教室内、友人数人でお弁当を食べていた時、
一人のクラスの男子が近寄って来た。
その手には、スマホがあって。
「なんかさ、前に17歳だとかそんなので、発売中止になったAVがあって。
そのスレッドに、そのパッケージの写真載ってて」
箸を持つ手が、震えた。
「ほら、これ」
そう言って、私に見えるようにそのスマホを目の前に、差し出して来る。
「ほんとだ。寧々にそっくり!」
友人のその子は、それが私だと思っていないから、テンションが高くなる。
その画像は、いつもとは違う感じに化粧をされているのもそうだけど、
加工の技術というのか、かなり色々とされている。
そして、面接の時に決めていた、私のAV女優としての芸名がそれに印字されている。
「けっこう可愛い子だから、発売されれば良かったのにな」
その男子の能天気に笑う声が、遠くに聞こえる。
「もしかして、あんた寧々の事好きなんじゃない?」
誰かがそうやって冷やかす声も遠く感じた。
私は鞄を掴み、そのまま教室から飛び出した。
誰かの、私を呼び止める声が聞こえていたけど、私は立ち止まらなかった。