LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「寧々の言う通りにしたら、結衣の事もそうだけど。
篤の家族にも、何もしない?」


斗希はそう言って、台所へと行き、
包丁を手に取った。


それに、この場所に居た斗希以外が息を呑む。


「斗希、まじでやるなら、お前が俺を刺せ」


川邊専務も、斗希のその姿を見て、覚悟を決めたようにそう口にした。



「俺も、そのつもり。
篤が殺人犯になったら、会社もそうだし。
梢ちゃんや子供達を、殺人犯の家族にしてしまう。
リスクが多い。
その点俺は…。
どうでもいい家族しか居ないし。
そりゃあ、結衣にはちょっと悪いけど、離婚したら他人だし。
うちの事務所の所長には迷惑かけるかもしれないけど、あの人人使い荒いし、いいか」


本気、なのだろうか?


冗談でしょ?


斗希も、川邊専務も。


斗希は分からないけど、川邊専務が本気なのは、その表情から伝わって来る。


「へぇ、斗希さん。
奥さんの事、大事なんだ?」


「まぁね。
自分でも、意外だった」


そう、斗希は私に笑い掛けて来るけど。


「辞めて!斗希!
私は刺されても構わないから!」


斗希を殺人犯にしたくないのもそうだし、
川邊専務の事も、死なせたくない!


それに、それで川邊専務にした事への罪が償えるなら…。

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