LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「小林、お前だけじゃない。
寧々は俺の家族も、って言ってんだ。
今、寧々の事をぶっ殺しでもしない限り、こいつは俺の家族も狙う。
もし、今寧々を取っ捕まえて警察に突き出しても、ずっと刑務所に居るわけじゃないし。
それに、寧々の事、ぶっ殺すのもそうだし、警察に突き出したくねぇ。
俺らのせいで、こいつは…」
「篤さんは、なんだかんだいい人だって、お姉ちゃん言ってたなー。
馬鹿だけど、って。
斗希さんと足して2で割れば、あなた達いい感じなんじゃない?」
「どうだろ?
2で割るだけじゃ足りないくらい、篤は馬鹿だから」
斗希は、両手で包丁の柄をぐっと握り、川邊専務の方へと歩く。
そして、少し距離を置いて、その足を止めた。
それは、一瞬で。
斗希はその柄を、自分の方に握り直すと、
迷う事なく、自分の胸を刺した。
「―――斗希さんっ!!」
悲鳴のような声をあげ、一番に斗希に駆け寄ったのは、寧々さん。
先程迄寧々さんが握っていた包丁が、床に落ちている。
斗希は、床に膝を着いて座っていて。
斗希の胸に、包丁が突き刺さっている。
それを目に映し、私は足から力が抜け、その場に座り込んでしまった。
「斗希、お前…」
川邊専務も、その場から動けなくて。
「救急車…。斗希さん、なんで自分を…。
ごめんなさい…私本当に、刺すなんて…」