LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「―――本当は、もうあなた達の事なんて、ずっと忘れていた。
あの後、色々ショックで、暫く外に出られなかったけど…。
こうやって顔を変えて、時間が経てば、何もなかったように生活出来た。
それで、お姉ちゃんの真似して、二十歳からキャバクラで働き出したの」


その寧々さんの話に、斗希は促すように相槌を打っている。


川邊専務は、ただ黙ってそれを聞いている。


「24歳の時、私結婚したの。
お店のお客さんと付き合い出して、そのまま。
彼は普通のサラリーマンだったのだけど、幸せだった。
25歳の時に子供も生まれて、けど」


そう言って、寧々さんはそれを思い出したように、涙を流している。


「二年前…。
彼の友達が、うちに遊びに来たのだけど…。
その日、彼が子供を自分の実家に預けていて、だから、お前も今日はゆっくりしろって言ってくれて。
彼とその友達と私の三人で、お酒を飲んでて…。
朝、気付いたら、私眠ったのか、寝室のベッドに裸で居て。
横を見たら、彼のその友人が、こちらを見て笑っていた」


寧々さんは、先程斗希との事を語った以上に、辛そうに見えた。


「驚いて、私が悲鳴を上げると。
その部屋に、彼が入って来て…。
彼が助けに来てくれたと思っていたけど…。
彼が非難したのは、私だった。
あまり覚えてないけど、私が浮気したとか…。
離婚だ、とか、子供は渡さない、とか」


「彼の友達は、私が誘って来たんだって言っていて。
彼はそれを信じて…。
私がどれだけ覚えてない、許して、と言っても許してくれなくて。
そこからは、離婚がすぐに決まって、その時、私は働いてなかったのもそうだけど、慰謝料請求しない代わりに、子供の親権も取られて」

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