LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「所で、お前。
成瀬さんには何もしてねぇか?
俺らにしたように」
川邊専務は思い出したように、そう尋ねていて。
私も、寧々さんの過去の話に、もう一人関わっていた事を思い出した。
「え、なんで?
だって、成瀬社長は悪くないじゃない」
「あ、そうか」
川邊専務は、安心したように笑っている。
「ただ、成瀬社長も今回の事は知ってる。
元々、一年半くらい前かな?
私、成瀬社長に電話したんだ」
その寧々さんの言葉に、川邊専務は、え、と驚いていて。
「ただ、愚痴るつもりだった。
その時、私酔ってて。
成瀬社長番号変わってなくて、繋がって。
その時、成瀬社長に言ったんだ。
篤さんや斗希さんに復讐してやるって。
じゃあ成瀬社長、もし必要なら、いい探偵を紹介してやるって。
昔成瀬企画で働いていた社員の人が、興信所開いているからって」
「あのよ。お前のその話が本当なら、成瀬さんも、今回の事に絡んでんのか?」
川邊専務のその顔は、それを恐る恐る訊いていて。
「うん。
お前の気の済むようにしろって。
ただ、殺すなって。
篤さんに成瀬社長から伝言があって。
これで、チャラだって」
寧々さんの言葉に、川邊専務の眉間が寄っている。
「そーいやあ、3日くらい前、成瀬さんから電話あって。
そん時、今日の予定をしつこく訊かれたけど、そういう事かよ」
川邊専務はポケットからスマホを取り出すと、誰かに電話を掛け始めた。
多分、その成瀬社長なのだろう。