LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
二人が居なくなると、リビングは静かで。


少し、それは居心地が悪いくらい。



「寧々さん、昔とそんなに顔が違うの?」


沈黙が嫌で、私から口を開いた。


「…え、あ、うん。
いや、最初は別人かと思ったけど、よく見たらそんなに変わってなかった」

急に私に話し掛けられ、斗希は考え事でもしていたのか、
驚いたように私に目を向けてくる。


「そうなんだ。
あ、でも、川邊専務の奥さんのお兄さん?
さっき話に出て来た人。
斗希達の後輩の」


「瑛太?」


「うん。その人は、寧々さんに気付いたんだね」


「瑛太、昔寧々の事好きだったんじゃない?
ハッキリと聞いたわけじゃないけど、
昔、篤が寧々の姉と付き合ってる時、俺らのたまり場になっていた瑛太の家に、その子の事連れてった事があるんだけど。
その子の顔見て、瑛太凄く照れていた事があって。
寧々と、そっくりだから」


先程の寧々さんの話でもそうだけど、
本当に姉妹そっくりなんだな。


そして、この人は、後輩の昔好きだった女の子を、そうやってAVに…。



「昔の寧々、けっこう可愛かったから。
顔は、普通なんだけど。
恥ずかしそうに笑う顔や、ちょっと頼りない所とか。
守ってあげたくなるような子で」


「斗希も、寧々さんの事好きだった?」


その私の言葉に、斗希は口を閉ざした。


その沈黙が、それを肯定しているように感じた。

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