LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~

「初めは、なんとも思ってなかったけど。
でなきゃ、AVに出ろなんて言わないし。
きっと、好きにはなってないと思うけど」


なんで、この人はそうなのだろう、と思ってしまう。


大切な人を、傷付けて。

それで、自分も傷付いて。


今も、寧々さんを傷付けた事で、傷付いている。


「それより、斗希。
傷大丈夫?」


そう言って向けた私の視線に気付き、
斗希はスーツの背広を脱ぎ捨てた。


胸元辺りから中心に、ワイシャツが真っ赤に染まってる。


斗希はそのワイシャツと、中に着ていたシャツも脱いだ。


血は止まっているのか、
心臓の辺りに深そうな傷痕がある。


「あ、バンドエイドあったっけな?」


斗希はそう言って、立ち上がる。



「え、バンドエイドって、病院行かなくて大丈夫なの?」


傷も深そうだけど、けっこう血が出ていたから。


「うん。別に傷痕くらい残ってもいいし」


そう言って、自分の部屋へと行こうとする斗希を追いかけるように立ち上がり、

その背を、抱き締める。


私の頬に直接触れる斗希の背中の肌は、温かくて。

< 241 / 288 >

この作品をシェア

pagetop