LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「初めは、なんとも思ってなかったけど。
でなきゃ、AVに出ろなんて言わないし。
きっと、好きにはなってないと思うけど」
なんで、この人はそうなのだろう、と思ってしまう。
大切な人を、傷付けて。
それで、自分も傷付いて。
今も、寧々さんを傷付けた事で、傷付いている。
「それより、斗希。
傷大丈夫?」
そう言って向けた私の視線に気付き、
斗希はスーツの背広を脱ぎ捨てた。
胸元辺りから中心に、ワイシャツが真っ赤に染まってる。
斗希はそのワイシャツと、中に着ていたシャツも脱いだ。
血は止まっているのか、
心臓の辺りに深そうな傷痕がある。
「あ、バンドエイドあったっけな?」
斗希はそう言って、立ち上がる。
「え、バンドエイドって、病院行かなくて大丈夫なの?」
傷も深そうだけど、けっこう血が出ていたから。
「うん。別に傷痕くらい残ってもいいし」
そう言って、自分の部屋へと行こうとする斗希を追いかけるように立ち上がり、
その背を、抱き締める。
私の頬に直接触れる斗希の背中の肌は、温かくて。