LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「―――なに、これ?」
離婚届から、私に視線を向ける。
斗希と、目が合う。
「離婚しましょう」
そう、なんとか言えた。
「なんで?」
「これが目的だった。
あなたの心を手に入れたら、離婚しようと。
これが、私のあなたへの復讐」
考えていた、その嘘を口にする。
もし、お腹の子供を産むのならば、
斗希とはもう一緒に居られないと思っていた。
いつか、斗希から聞かされた過去の話。
斗希は実の父親から、本当の子供かどうか疑われていて。
その事実が、今も斗希の心に影を落としていて。
それが、この人が真っ直ぐに人を愛せなくなってしまった、要因だろう。
実の父親に、そうやって裏切られて。
もし、この子を産んだら、
斗希は私と眞山社長とのあの夜の事を知っているから、
自分がされたように、その子を自分の子供かどうか疑うかもしれない。
そして、この子は本当に斗希の子供じゃないかもしれない。
もし、そうなら…。
「私はもう記入しているので、後は斗希が書いてくれたら」
そう言い切ると、私はその離婚届に視線を落とした。
「―――分かった。
俺、明日休みだから、書いて出しておく。
証人も適当に、誰かに頼む」
「うん…」
少しくらいは、嫌だとか言ってくれるかと思ったけど、それはないか。
私の事を好きだと言ってくれたけど、
もしかしたら、それは嘘だったのかもしれないな。
嘘じゃなくても、それほどだったのかもしれない。