LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「さっき、滝沢君が言っていた通り。
うちの社員に川邊専務と結衣が不貞に見えるような写真を撮るよう命令した。
じゃあ、本当にそうなっていて。
後は、もっと確実な何かが欲しくて、結衣のスマホを見せて貰った。
川邊専務とのメールかLINEのやり取りとか、不倫を匂わせるものでもないかと。
そうしたら、あんなもの見付けて。
結衣のスマホから、あの音声をメールで俺に送った」


眞山社長は、私や斗希、川邊専務がそれを公にするつもりはないと分かっているからか、
イタズラを得意気に話す子供のように語る。


「で、滝沢君は、どうしたいの?
俺からその真実を聞いて?」


「もし、まだあの音声データが眞山社長の手元にあるなら、消去してくれませんか?」


「もし、それを断ったら?」


その問い掛けの答えなのか、斗希はスーツのポケットからICレコーダーを取り出した。


斗希の事だから、今の会話も録音してあったのだろうけど、
この件を公にしないのならば、
今の眞山社長の自供は、なんの脅しにもならないのでは?



斗希は、それを触り、それを再生する。


『―――父親に、婚約前に身辺を綺麗にしてろって言われて。
結衣の事は、けっこうお気に入りだったんだけど。
ゴムにアレルギーがあるとかちょっと嘘付いたら、ピル飲んでくれて、中出しさせてくれるし。
それに、まだ処女だったから、俺しか知らなくて、可愛くて。
けど、重いんだよな』


その録音の声は眞山社長で。


時々、相槌のように斗希の声が聞こえる。


きっと、私との別れの代行を、斗希に頼んだ時の音声なのだろう。


斗希はもう十分だというように、それを止めた。


本当に、なんでこんな人を、と、眞山社長を睨み付けてしまう。


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