LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「あの音声は、消して下さい。
この先、あれを篤に対して何かの脅しや嫌がらせに使う事があれば。
そうなれば、今のこの音声が、誰の耳に入るか分かりませんよ?」
「けど、そんな事したら、滝沢君もヤバいんじゃないの?」
「そうでしょうね。
守秘義務違反で、下手したら、弁護士資格の剥奪もありうるかもしれない。
でも、俺、公認会計士の資格も取ってるんで」
そう言って、クスリと笑う斗希に、
眞山社長も小さく笑う。
「眞山社長、なんでこんな事をしたんですか?
この先、あなたにとって篤の事が邪魔になるからですか?
離婚でもさせて、篤の会社内でのイメージを悪くさせようと?」
斗希のその言葉の意味は、いつか眞山社長が今よりも上に行く事に、川邊専務が邪魔だという事だろう。
現在、親会社であるベリナングループの社長は、眞山社長のお父さんだけど、
会長は、川邊専務のお父さん。
いつか、眞山社長と川邊専務はこのベリトイを出て、
ベリナングループの会長の座を争うのかもしれない。
「いやいや、もっとシンプルな理由。
俺は、川邊専務が嫌いなんだよ。
ああいう、子供がそのまま大人になったような人間が」
そう、軽く笑いながら話しているけど、
その言葉は真実のような気がした。
「滝沢君も、そうじゃない?
そう感じたけど?」
その眞山社長の言葉に、斗希は笑みを返している。
それを、肯定するように。