LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~

「円さんとの事、聞いたんでしょ?
前に円さんから電話があって。
篤に全部話したって」


「ああ。
寧々の事があって、すぐくらいか?
そん時、姉貴に謝られた。
もし、もっと早くに俺に打ち明けていたら、
もしかしたら、俺とお前の関係がそこまで拗れなかったんじゃないかって」


川邊専務はそれを知って、怒っているのだろうけど、それは静かで。


なんとなく、もっと激しく怒ってくれていた方が、
川邊専務と斗希とのその関係は、修復出来たんじゃないかと思ってしまう。


今、川邊専務が感情的に怒らないのは、
もう、斗希に対して諦めているのだろう。


円さんと斗希との関係は、18年間。


その長い年月、斗希は何もなかったように川邊専務の隣で笑っていて。


川邊専務は、18年間、ずっと斗希に裏切られていた。


その年月の、重み。


円さんの言うように、もっと早ければ…。


まだ、二人は元に戻れたかもしれない。


「篤、俺はお前の事がずっと嫌いだった」


「そうか」

斗希のその言葉を受け止める川邊専務の顔は、きっと、それを分かっていたんだろうな、と思うもので。



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