LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「後、所長に言って、ベリトイの顧問をうちの他の先生に代わって貰う。
元々、俺が篤の友達だから、って、
川邊会長が俺を推薦してくれてたみたいだけど。
その辺りは、なるように」


「分かった」


「後、結衣を今日は連れて帰っていい?
今後の事について、夫婦で話さないといけない事が多くて」


ね?、と急に斗希に笑いかけられて、戸惑う。


確かに、この人に訊きたい事は沢山あるけど。


「分かった。
俺も適当にこいつの上司に言っといてやる」


私の意見を無視して、勝手に二人の間で話が進んでいて。


退職届を出した日に、早退っていいのかな?


そりゃあ、明日から体調不良で休むつもりだったけど。


「つーか、こいつがベリトイ退職するのは、お前知ってんのか?」


「え?
知らなかったけど、予想はしてた。
近いうちに、この会社辞めそうだなって。
結衣、妊娠してるんだ。
俺の子供を」


再び言われた、その言葉。


一体、どういうつもりなのだろう?



「そっか。
小林、体大事にな。
いや、滝沢だったな」


そうかけられた言葉に、なんだか目頭が熱くなる。


「なんかあれだよな?
女と別れる時って、なんつーかその少し前から予感あるだろ?
こいつと次会ったら、別れ話になりそうだな、って。
友達同士でも、あんだな?」


「そうだよね。
俺も次に篤に会ったら、それが最後になりそうだな、って思ってた」


だからお互い、最近は全然連絡を取り合っていなかったのだろうか?


次が最後だから、その次を先延ばしするように。


「斗希、じゃーな」


「うん」


斗希はそう言うと、私の手を引いて専務室から出た。
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