LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~

「もし、生まれた子供が眞山社長そっくりだとしても、構わない。
俺の子供だと愛すから。
だって、結衣の子供だから」


その言葉に、涙が溢れて来る。


斗希の言葉が、嬉しくて。


「結衣には、俺の昔の話を聞かせたから、よけいに色々と考えさせたのかも。
けど、俺は父親とは違うから」


その言葉に何か言葉を返したいけど、
嗚咽が止まらなくて頷くのが精一杯。


「昨日の夜、離婚切り出された時。
結衣もそうやって俺から離れて行くのか、って。
本当に、辛かった」


ごめんなさい、と声にならない声で斗希の手を握る。


その手を、握り返してくれた。


「あの後、部屋に一人になってから、
録音していたその時の結衣の言葉を聞いてみた」


昨日の夜のあの話し合いも、録音していたの?


「言葉に惑わされずに聞いたら。
結衣、苦しくて泣いてるみたいに聞こえた。
だから、離婚を切り出したのは、何か理由があるのか、って」


「うん…」



「朝、結衣が出て行った後、悪いけど、結衣の部屋色々と漁らして貰った。
産婦人科の医療明細書と、使用済みの妊娠検査薬も見つけた」



だから、私が妊娠していた事を、知っていたんだ。


「後、離婚届は、処分したから」


「うん…」


「それと、これ」


そう言って、斗希は私に、銀行の通帳を手渡して来た。


その通帳は古ぼけていて、口座名は、私の名前。


旧姓の、小林結衣。


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