LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~

「お父さん、お母さん、こちら、結衣さん」


実家の鍵を持っている斗希は、
チャイムも鳴らさずそのまま私をリビングへと通す。


斗希にそう紹介された時、
斗希のお父さんはリビングのソファーに座り、優雅に何かのティーを飲みながら、
本を読んでいて。


斗希のお母さんはエプロン姿で、キッチンで何かのお菓子を作っていた。


「斗希、来るの早くなるなら言ってよ?
まだマフィンが焼き上がってないのに」


満面の笑みでウフフと笑う、優しい母親。

素敵な父親も一緒に笑っていて。


天気の良い日曜日の昼下がり。


リビングの大きな窓の向こうは、広い庭で。


手入れされた花が咲いていて。


外からの日差しが、リビングを照らしていて。

物もあまりなくて、モデルルームのようなこの家。


本当に、ホームドラマの中にでも入り込んだみたい。


聞いてはいたけど、本当に嘘臭い。


「いや。長居はしないから、お茶もお菓子も必要ないよ」


斗希の言葉に、母親は飲み物を用意しようとしていた手を、止めた。


「斗希?」


私も、え、と思い隣の斗希の顔を見る。

一度、両親に紹介したいと斗希に言われたので、
私は斗希に連れられ今日此処に来たのだけど。


今は午後2時で、確かに一緒にお昼ご飯でもって時間でもないので、そこまで長居はしないとは思っていたけど。


斗希の感じだと、ソファーに座る事もなく、立ち話で済ませようって感じに見て取れる。


< 282 / 288 >

この作品をシェア

pagetop