LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
出産
出産は、斗希が提案してくれたように、大学病院になったのだけど。
無痛分娩の方は、その予定で進めていたが、臨月過ぎても逆子が戻らず、
38週入ってすぐに、計画的に帝王切開する事になった。
手術を終え、病室に運ばれると、
斗希は居るけど、まだ子供は新生児室に居る。
「結衣とこうやって二人っきりになるのも、暫くないのかな?」
ベッドサイドのスツールに腰掛け、ベッドで横たわっている私を斗希は優しく見下ろしている。
その顔は、それを寂しがっているようにも、新しい家族が増えた事を喜んでいるようにも見える。
「そうだね…」
私は段々と麻酔が抜けて来ているからか、
笑うと、少し下腹部が痛い。
これから、傷の痛みが強くなって行くのかもしれない。
まだ、足は動かないけど。
退院した後、この痛みと戦いながら育児か…と思うけど。
斗希は貯まっていた有給等を使い、
暫くは時々仕事を休んでくれるみたいで、
そう思うと、なんとかなるだろうな。
家事も暫くは斗希が全てしてくれるらしい。
「流風まだかな?」
るか、は、私と斗希が事前に決めていた子供の名前。
男の子なら、その名前にしようと。
性別は、安定期に入るくらいからもうエコーで分かっていた。
生まれた子は、そのエコー通り男の子だったけど。
そのエコーでは流石に分からなかった事もある。
「流風、本当に斗希そっくりだよね?」
手術室で、取り上げて体を拭いたその子を小児科の先生に見せて貰った時。
斗希にそっくりで、驚いた。