LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
私はテーブルの下、鞄の中のスマホを川邊専務に気付かれないように触る。



すると、川邊専務の手の中のスマホが、電話を着信して震え出した。



「あ、誰だ?」


それは、非通知で。


私は非通知設定にして、川邊専務に電話を掛けた。



「…はい」


少し逡巡していたが、川邊専務はその非通知の電話に出た。


「なんだ?なんも言わねぇ」


そのスマホを耳から離して、見ている。


「ここ騒がしいから、相手の声聞こえないんじゃないですか?」


私がそう言うと、少しめんどくさそうに、川邊専務はスマホを持ち立ち上がり、
店の外へと出て行った。


私はその一瞬のチャンスを逃さず、
鞄から白い紙に包んだそれを取り出す。

それは、ある薬の錠剤を、ピルクラッシャーで粉々にしたもの。


それを、川邊専務の呑んでいる焼酎のお湯割りに入れ、軽くかき混ぜた。


それが跡形もなく溶けるのは、すでに実験済み。


そして、その効果も。
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