LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
私はその作業が終わると、スマホを触りその電話を切る。


すると、川邊専務もまたこちらへと戻って来た。



「電話、なんだったんですか?」


白々しくそう訊く。


「多分。イタズラ電話ってやつか?
それとも、間違え電話か?
よく分かんねぇ」


「もしかして、奥さんが川邊専務の浮気を疑って非通知で掛けて来たとか?
本当に出張か、気にして。
本当に出張だとしても、今頃夜の店で遊んでいるんじゃないかって」


「いや…。梢は、疑ってるなら、こんな探るような真似はしねぇと思うけど…」


そう言いながらも、私の言葉に惑わされているのが分かる。


だからか。


「今日は疲れたし、これ一杯だけで終わりにして、部屋戻るか」


そう言って、ピッチを上げて焼酎のお湯割りを飲み干している。


薬入りの、それを。


「そうですね」


私も、モスコミュールを一気に飲み干す。


薬の効果が出る前には、この店を出たい。


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