LOVEREVENGE~エリート弁護士と黒い契約結婚~
「そんな事より、そろそろ用意しないとですよね?
今日は、少しうちのブースに顔を出すだけでいいみたいですけど」


私が体を起こすと、腕を掴まれた。


夕べ、この人にこうやって腕を掴まれた事を思い出して、恐怖から体が震えた。


「悪い…」


そう言って、川邊専務はその手を離した。


「---俺、小林に誠心誠意償うから、
この事は、黙っててくれないか?
嫁も子供も、本当に大切なんだ」


最後の方は、それがこの人の悲鳴のように聞こえた。


その言葉が、私の中にある良心に突き刺さり、痛みを感じる。



「---分かりました。
私も、川邊専務の事を訴えようとかそこまでしたくはないです。
ただ、私はこのまま泣き寝入りするつもりはないです」



「ああ…。
金でも何でも、俺に出来る事ならなんでもする」


「あの弁護士さん…。
あの川邊専務のお友達の、あの人を交えて、一度話し合いませんか?
川邊専務の私にしたそれは、犯罪ですから」


その言葉を口にする時、緊張から震えたが、
川邊専務はそれを気に留める事は無かった。



「ああ。
早い方がいいよな。
今日、あっち戻ってから都合付くかどうか、
後で斗希に連絡しておく」


その言葉を聞いて、滝沢斗希の顔を思い浮かべた。


きっと、親友が私に罠に嵌められたのだと、滝沢斗希は思うだろう。


少しくらいは、悔しそうな顔を浮かべるだろうか?


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